その病気やアレルギー,実は雑草のせいかも!?
この記事のポイント
  • 身近な雑草などが原因でアレルギーが発症することがある.
  • 春はイネ科,秋葉ヨモギなどに気をつける!
  • 接触性の皮膚炎を発症させるものもある!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「雑草が引き起こす身体への影響」ということでお話をしたいと思います.
例えばクシャミ発熱などのアレルギー性炎症や,皮膚炎など,もしかしたら,私たちが気がついていない症状が,雑草によって引き起こされている可能性があるのです.

また,それだけはなく,雑草によって引き起こされる事故や,雑草由来により発生する昆虫生き物が原因で,私たちに影響を与えるものもあります.

今回は,このような雑草由来の病気・人身傷害などについてご紹介したいと思います.
今回も,2018年に出された学術報告書,NPO法人緑地雑草科学研究所の伊藤幹二さんが書かれた「雑草リスク情報」を参考にさせていただいております.
とても面白かったです.
こういうことを知ると,作業中に長袖をつけようとか,他にも生活の際に,気をつけようとなると思います.

雑草がもたらすアレルギー性炎症

アレルギー性炎症とは,どのようなものがあるのか,ということですが,軽度なものから重症度の高いものまで存在します.本報告書で挙げられている例でいくと,

  • クシャミ
  • 鼻水
  • カユミ
  • ジンマシン
  • 喉の痛み
  • 結膜炎
  • 発熱

などが,雑草が原因で引き起こされる可能性があるといいます.
今回の報告では,やはり,除草作業中に多く,引き起こされており,さらに春季と秋季の寒暖差がある時に怒っているということがわかっております.そして,雑草,作物別にわかっているので紹介しておきます.

春に多いのは,イネ科の雑草です.
特に,ネズミムギカモガヤオオアワガエリといった雑草です.

ネズミムギは,牧草としてイタリアンライグラスという名前で使われます.
日本でもどこでも生えている雑草です.
カモガヤ,これはオーチャードグラスと言われているものですが,5-7月に花粉が飛ぶんですね.
なので,そこからアレルギーが発症しやすいと言われてます.
オオアワガエリ,これはチモシーグラスともいいますが,こちらも花粉症の原因になるものですね.
日本全土でよく見られます.

秋に多いのは,葉っぱが広いタイプの広葉雑草なのですが,一番はヨモギですね.
ヒメムカシヨモギオオブタクサブタクサなどが多いと言われます.

ヒメムカシヨモギは,鉄道路線に沿って広がったため,ゴイッシングサとか,テツドウグサと呼ばれているものです.
オオブタグサは,桑の葉に似ております.掌のような3~5つに分裂しているような葉っぱの形状で,クワモドキとも呼ばれております.
ブタクサは,オオブタクサよりは背丈が低いのですが,こちらもね要注意ですね.
どちらも風媒花で,花粉が風で飛ぶんですけど,日本でもスギとかヒノキに次いで,オオブタクサ・ブタクサの花粉症の患者がいるとのことですね.wikipediaを参照しておりますが,アメリカでは,人口の5~15%はブタクサ花粉症であると言われております.
ブタクサは,要注意外来生物に指定されているようですね.

驚異的な数字ですよね.
こういった事実を知るのも,作物を栽培している人にとっては重要なのかな?と思います.
やはり,除草で草と接する機会が多いので,ぜひお気をつけください.

原因は花粉だけではない.

アレルギーと聞くと,単に花粉のアレルゲンと言われる原因物質がいわゆる花粉症のように片付けられることが多いのですが,本報告書では,花粉だけではなく,葉っぱに付着した細菌と真菌の胞子,そして,植物体から発生する様々な有機・無機化学物質の関与があると言われております.

日本では,スギ花粉だけが注意喚起されるのですが,こういった雑草種でもアレルギーが起こりうるのですね.

接触性皮膚炎

また,アレルギーだけではなく,接触性の皮膚炎をよく引き起こす植物も紹介されてます.

雑草の種類を列挙しますと,

  • タケニグサ
  • クサノオウ

ですね.これらは,茎から出る乳状の液体によるものです.
この二つの種類は,ケシ科(〜科とかの分類です)で,有毒なアルカロイドが含まれているからだと言われております.

タケニグサは,切れ込みのある葉っぱが特徴ですが,多年草のよく見られる雑草です.
特徴としては,夏に花が咲くのですが,白い花火のような花がブワッと咲くのですが,茎を切ると,黄色い乳液が出るんですね.

クサノオウもね,黄色い乳液が出ます.
それがちょっと綺麗なんですよね.花も4枚の黄色い花びらをつけて綺麗なんですよね.
ケリドニンというアルカロイドがあるのですが,これは,モルヒネに似た中枢神経抑制作用があります.
モルヒネよりはずっと弱いですが,古くから漢方として,水虫対策などに使われていたようです.

毒と薬は表裏一体ということですね.

基本的に,乳状の液体は注意した方が良いかもしれないですね.
ウルシとかもそうですよね.マンゴーもウルシ科なので,皮膚がかぶれるという人もいます.
ウルシオールとかと呼ばれる成分が皮膚炎を引き起こすのですね.

前回,「過去10年でもっとも日本人を殺している植物」を紹介させていただいたのですが,身近にある草の脅威はやっぱりあるのですね.


けんゆー

恐ろしいね!

雑草が呼ぶ虫による被害

雑草の高さが高くなった時に営巣するアシナガバチスズメバチの被害も報告されております.
本論文によると,草の高さが高くなるほど,ハチの巣の数が増える傾向が認められております.
僕も初めてアシナガバチに刺されたときは驚きました.
草の背の高さが高くなった時は,葉裏などが見えにくくなり,刺される可能性が高くなります.
果樹を栽培されている方は,雑草じゃなくても葉っぱの裏などにつきますから,注意が必要です.

どちらもアナフィラキシーショックを発症する可能性があります.

アナフィラキシーショックとは!?

アナフィラキシーとは,アレルギー症状の一つなのですが,身体の中に,アレルゲンやヒスタミンなどといった成分が入った際に,免疫系が過剰に反応して引き起こされるものですね.
なので,蜂の場合は,繰り返し刺されることによって,蜂の毒に対する抗体ができた後,引き起こされる場合が多いです.
このアナフィラキシーショックが発症する人は,刺された人のおよそ10%程度だと言われております.
毎年,20人程度がお亡くなりになっておりますので,気をつけてください.

アナフィラキシーショックは,蜂刺されだけではなく,ソバやピーナッツなどの食べ物とか,医薬品,ゴム製品などによっても引き起こされるので,アレルギー体質の方は若干注意が必要ですね.

他の害虫

他にも,アブムカデマムシなどの被害が確認されております.
マムシは深刻なようです.
全国調査によるマムシ咬傷(こうしょう)の検討」という論文では,年間1000~3000件の噛まれる被害が出ていて,その内,毎年10人程度の死亡者数が出ていると言われております.

けんゆー

この前,愛媛県松山市のアボカド農家さんも,よくマムシがでると言っておりました.沖縄にはマムシはいないですが,死亡者数で考えるとハブよりも危険ですね.!

また,高所まで草を伸ばして,一斉に草を刈ると,行き場を失った有害生物が生物が周辺に拡散し,2次被害を起こすケースが見られます.

また,近年では,ヒアリの被害も確認されております.
ヒアリは雑草地の地下にコロニーを作ります.
こちらもアナフィラキシーショックを誘発する可能性があるので,注意が必要です.

他にも,細菌の感染症を引き起こすとされるマダニですね.
厚生労働省も,ダニ媒介感染症の注意喚起を出しております.
こちらも近年は,被害が増えてきているといいます.
マダニ類に,もし噛まれたら,無理やり引っこ抜いたりせず,医療機関(皮膚科)などで処置をしてもらうと良いようです.マダニの身体の一部が残ってしまうとのことです.

いざ噛まれた場合は,自分の手で取ってしまいそうですけどね.

農作業は危険が伴いますね.

雑草の作業.

仮払い機による作業も問題になる場合があります.

飛び石や,チップの飛来が目に入り,傷害事故が起こるケースです.
ゴーグルなどを使用して,防御をしている人は多いと思いますが,それでも事故が確認されております.
僕も一度,ハウスのパイプに仮払い機の円盤を当ててしまい,刃先のチップが膝に飛んできて,針で刺されたような鋭い痛さに苦しみました.
また,飛来物だけではなく,作業者の振動病や,難聴障害も発生しているようです.
機械を使用する場合は,長時間の運転を避けて,適度に行ってくださいね.

また,急斜面での除草作業も深刻な問題になっているようですね.
本論文によると,一般に傾斜地における歩行限界の傾斜度は 20 度,作業限界は 30 度程度であるとされてます.
しかし,圃場によっては,局所的なものも考慮して,30 度以上の場所もよくあると言います.
この傾斜での除草作業は,いわゆる危険有害作業と呼ばれているのですが,毎年,死亡例が報告されているので注意が必要です.

視認性の妨害による事故.

雑草が営造物を遮蔽(しゃへい)することによって,事故が起きているようです.
例えば,カーブミラー,ガードレール,白線,などの遮蔽による交通事故が報告されているようです.
個人の敷地の雑草が,運転の視認性を悪くして起こる事故もあるのですね.
つる性の雑草,クズヤブガラシなどがよく生えている場所では,気をつける必要がありますね.