- 音というのは空気中を伝わる振動.
- 植物には空気中の振動を感じ取る力がある.
- ブドウの成長に関する研究が面白い.
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
植物には人間の感覚器以上に優れたセンサーを持っているのは事実であります.
例えば,光.
赤色と深い赤色を波長レベルで感じ取る力があることは前回お話しさせていただきました.
この記事のポイント 光周性による影響について解説! 花が咲くかどうかは赤色の光が重要である. アイリスや大豆の …
また次回まとめますが,他にも青い光などもきちんと認識しております.
つまり,植物は,光を感じとる能力に物凄く長けた生き物なのですね.
今回のお話は植物の音を感じ取る力の話です.
植物の成長と音楽というのは,昔から論争の的になる話題ですよね.
植物には音が聞こえているのか?そして,その音は植物の生育を促進させるのか?というお話です.
植物は私たちと同様に生き物ですから,毎日「おはよう」と声をかけている方も多くおられると思います.
そして,やっぱり声をかけているのであれば,聞こえていてほしいというのが人間の性なのですよね.本日はそういったお話です.
音ってなんだろう?
さて,植物の聴覚のお話の前に,そもそも音という正体についてお話をしたいと思います.
音というのは,一言で言うと「波」です.
空気の振動なのです.
(真空空間だと,空気が揺れないので,何も聞こえなくなる.)
私たちは,この空気の振動を上手く耳介(耳の外側に張り出した部位)で集音して,鼓膜に伝えます.
私たち人間は音がわかります.
人間というのは,ものすごく音に頼って生き残ってきました.
天気が崩れる前の音,狩猟時の動物の鳴き声や足音,人間同士の意思疎通など,過去も現在もそうですが,生活をするにあたって音というのは,ものすごく価値のある情報なのですね.
私たちは音を感じ取る力がありますが,この耳という部位は音を集めるのに非常に有利な作りになっているのですね.
私たちの耳は,顔面の両側に出っ張っていて,360度の方向に対応しており,体の中でも比較的高い位置に取り付けられてあって,お椀型をしており,音を上手くキャッチする,そして,硬い骨がなく,軟骨で構成されており,耳元で音が強く干渉しないという便利な構造になっております.
植物というのは,このような便利な耳という構造を持っておりませんので,音が聞こえているのか怪しいところではございます.
しかし,このラジオをお聞きのあなたは,植物というのは,動けませんから,あえてそういった一箇所に重要な部位を作らないような構造,モジュール構造になっていることはこれまでお話をしてきました.弱点を作らない構造ですね.
植物は聞こえているのか!?
先に答えから申し上げておくと,植物は周囲の音が聞こえております.
聞こえているというよりは,感じ取っているという方が正しいのかもしれません.
音というのは,空気の振動なので,このような空気の振動を体全身で感じ取っていると言われております.
植物には耳がないのですが,体全体に張り巡らされた機械受容チャネルによって,振動を受け取ることができます.
機械受容チャネルは,植物細胞の中にびっしり入っておりますから,植物は身体中に無数の小さい耳があるようなものですかね.
もちろん,すでにこの音と植物の関係は研究がなされておりまして,今回は,フィレンツェ大学国際植物ニューロバイオロジー研究所の研究結果をお知らせいたします.
こちらは,「植物は知性を持っている」という本書から参考にさせていただきました.
本書の紹介によりますと,彼らが行なった実験はブドウの栽培です.
なんと5年間もの間,音楽を聴かせてブドウの栽培を行っていたそうです.
結果は,音楽を聴かせながら育てたブドウの方が生育が良かったようです.
成熟が早く,味や色,ポリフェノールの含有量がかなり高かったようです.
また,音楽が害虫を混乱させて,虫の防除にもなったようです.
ただ,この実験で警告されているのは,何でもかんでも音楽を流したら良いというわけではないようです.
人間が好むようなリズムではないということですね.
100~500hzの比較的低い周波数の音が効果的であったと言います.
逆にそれよりも高い周波数は植物の成長を抑えるような働きがあったと示唆しております.
ということで本日のお話はここまでにしたいと思います.