ヘンテコな食料自給率と食料安全保障の現状と利権.お米の保護と補助金.
この記事のポイント
  • 農林水産省が目指す「食料自給率の向上」と「食料安全保障」の問題に切り込む!
  • カロリーベースの食料自給率の目的はお米の関税と農家さんへの補助のため.
  • 本質を理解して農業に向き合うことが大切!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

今回お話しさせていただく内容は「食料自給率と食料安全保障」をテーマにします.

これまで色々と話していた農薬の話,例えば世界的にみても農薬使用量がもっとも多い国は日本だったり,前回の食料自給率のヘンテコな事実だったり,と僕たちと深く密接な関係にある食や農業というものが,蓋を開けてみたら驚くべきことであるということは多いわけです.
やっぱり大事なことは,しっかりと状況を把握すること,数字の本質を考えることにあると思います.

さて,少し前回の食料自給率のおさらいをしますね.
食料自給率がカロリーベースという世界でも類を見ない計算方式で算出されており,野菜やフルーツを作ってもカロリーが低いので数字が上がらない.
しかも,家畜の飼料が外国産であれば,国産牛も牛乳も卵も外国産として扱われている現状があります.
そういった理由で,食料自給率の計算は農水省が恣意的に行なっており,低く計算されているわけでありますが,なんと農水省はこの数字を上げようと,声を大きくしているわけです.面白いですよね.37%だからって不安にかられないで下さいね.

そこで,今回はなぜ,わざわざ数字が低くなるカロリーベースの食料自給率を使用するのかというのを考えていきます.

ヘンテコな食料自給率

農水省が令和2年3月に出した「食料・農業・農村基本計画」には,2つの基本的な方針が明記されてます.

  • 食料自給率の向上.
  • 食料安全保障の確立

これら二つはセットなのですね.
なぜ,家畜の飼料までさかのぼって計算しているのかというと,日本が海外から飼料を輸入できなくなった際に,食料生産が止まってしまうからと政府はいっております.
つまり,そんな頼りない存在を食料自給率として加えるのは,如何なものなのかという考えがあるのですね.これがいわゆる「食料安全保障」というちょっぴり変な言い分なのですね.確かに,そういった考えも一理あると思いますが,これを言ってしまうと,実はきりがないです.
そして,いろんなところで,この家畜の飼料問題が,攻撃の的になっていたりしますね.

野菜やフルーツ,お米の生産に必要な化学肥料や化学農薬の原料は石油ですね.
ビニール資材だってそう,トラクターや冷暖房設備の燃料だってそう,すべて石油,原油や天然ガスというのは,総じて海外から来ているのですね.
つまり,家畜の餌が外国産だと,国内で作れる牛やミルクも外国産理論でいくと,現在のお米や野菜は外国の石油が多量に使われているわけなので,ここら辺はどうなるのかな,という疑問が残りますね.ちょっぴり中途半端な往生際が宜しくないような気もしますね.

このようなやり方を見ますと,食料自給率が低いので,「自国のみでの農作物の生産を高めよう!」という主張よりも,外国との輸出入関係を良好なものにすることにまず力を入れて,その上で食料自給率の算出をやり直すことが必要なのかもしれないですね.

このような食料自給率がカロリーベースでなされるのは,やっぱり少々乱暴ですよね.
戦時中・戦後は食料自給率が80%くらいありました.食べていたものは,芋・山菜そして少々の米です.

こういったカロリー計算の上で成り立つ食料自給率の数字は,上がれば上がるほど,貧しくなっていくのですよね.
肉や牛乳,卵は食べない,油も砂糖もまんじゅうもパンも食べない,国民全員がそういった食生活をすると,食料自給率はすぐに上がります.
それが果たして,私たちが求める食料自給率の向上した未来でしょうか.
この算出方法では,やっぱりちょっと無理があるような気がします.

カロリーベースな食料自給率換算を使いたい理由.

カロリーベースの食料自給率を使いたい理由は以下です.

  • かつては,日本のお米を守るために,世界的な関税の撤廃を逃れるため.
  • 現在は,農家さんたちへの手厚い補助金の言い訳として.

1980年代くらいから,世界的な国際交渉の中で,日本は関税を撤廃せよという要請が大きくあったのですが,やっぱり日本としては自国のお米は守りたい,
そういう一心で,食料自給率が低いと主張し,これ以上,自国の産業にダメージを与えないでくれと,世界に訴えかけてきたのですね.

それが現在では,これが,農家さんたちへの手厚い補助金の材料になっているのですね.
政府が農家さんに対してどれだけ補助金を支払っているのか,という指標が生産者支援推定,PSE(Puroducer Support Estimate)というのがあります.
農業収入のうち,何%が補助金をしようしているのか,という指標ですね.

実は,日本は世界的に見てもかなりトップクラスで,49%ですね.
直接,全員がもらっているわけではなく,ビニールハウス補助とか,灌漑用の設備費や,新規就農補助など,かなり大きなお金が補助される場面が沢山あるわけです.
食料自給率が低い日本の農業を支えるためにも,これは必要だ!という文脈なのですね.

これが良いとか悪いとかは二の次で,現状の事実を知ることが大事です.未来に向けて,幸せな食・幸せな生活を送るために,私たちは知る必要があるのかなと思い,書き下ろしております.

けんゆー

youtubeでラジオ版もやっているので是非ご覧くださいー!!