【アボカド栽培25】アボカドの花について徹底的に解説してみる!
この記事のポイント
  • アボカドの花芽分化には20℃程度の環境が必要!
  • 開花型AとBは,ズレることともある!
  • 隔年結果の要因である「有限花序」と「無限花序」を理解する!

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

前回は,アボカドの寒害の影響を取り上げました.

今回のテーマはです!アボカドの花がどのような形態や機能をしているのか,そしていつ咲くのか!?開花に影響される要因はなんなのか,について取り上げていきたいと思います.

アボカドの栽培は今では沖縄県だけではなく,本土のどこでも栽培をすることができます.
そこで,すでにアボカドを栽培している方,もしくはこれからアボカドを栽培してみたいよ!と思う方全ての人が参考になるお話だと思います!

花芽の分化!発育の過程

アボカドの花穂(かすい)の成長曲線は見応えがあります.こちらの画像は論文からの引用です.
アボカドの花芽分化及び発育について
詳しく内側を知りたい方は,原本をご覧ください,
こちらでは,おいらの沖縄での栽培経験を踏まえて,色々と情報共有していきます.

アボカドが果実をつけるためには,花芽をつけなければいけません.

花芽分化に必要な条件としては気温です.
本土で栽培すると,だいたい4月あたりから日中の気温が20℃程度になりますが,この頃から急激に花穂が発達して,花芽形成が大きく前進します.

僕たちの圃場,沖縄県では,2月の段階でもかなり暑いので,花芽が確認できていました.

上の二つの画像は,おいらたちのアボカド圃場の2月2日の様子です.
アボカドを育てている糸満市という場所は2月でも日中の気温が20度近くまで上がり,花芽分化を誘発する気候です.

花の開花型

アボカドの花にはAタイプとBタイプの二つの花があります.

けんゆー

開花型だねー!


アボカドの花は「雌雄異熟型」と呼ばれる性質を持っています.
被子植物の花で,一つの花の中に雄しべと雌しべをもつ両性花ですが,この雄しべと雌しべの活動時期がずれます.

こちらの活動の振る舞いは以下のようになると言われています.

つまり,Aタイプは,1日目の午前中に開花して雌しべが活動的になり閉花,そして次の日の午後に再び開花して雄しべが活動的になり閉花します.

けんゆー

Bタイプはこれの逆だよ!

植物というのは,遺伝子を後世に残す際に,なるべく自身と近い遺伝子を残さないような工夫をします.アボカドは,このように,雄しべと雌しべの活動タイミングを反らす!ということをやって,自分自身の花粉が自分の雌しべにつかないようにしているのですね.

開花型のあまり知られていない事実

上の写真は,おいらたちの圃場の3月18日の様子です!綺麗な花がポツポツ咲いてます.

最近読んだ論文で面白い表記がありました.
「論文:アボカド品種の開花型, とくに開花時の気温が開花習性に及ぼす影響

実は,この開花型,栽培環境によっては適切に機能しない場合がよくある!ということです.

花が咲くには,周囲の温度環境が非常に重要ですが,だいたい,20~25℃程度でないと,きちんと花が咲きません.

これ以下になると,例えば以下のようなことが起こります.

  • Bタイプの雄しべステージの花が咲きっぱなしになる.
  • Aタイプの雌しべステージが咲かない.

ということが往々にして発生するようです.
アボカドは一本でないと結実しないということがよく言われたりしますが,温度による狂い咲きによる影響も多々あり,一本でも果実をつける場合があります.

しかし,一番大事なことは,やっぱり混植をすることです.
AタイプとBタイプの花の特性を把握して,受粉効率を高めてあげるような植栽をする必要があります.

虫媒花なので,虫を入れる!

アボカドは虫媒花なので,花が咲いたら,虫を呼ぶ必要があります.
おいらたちは露地で栽培しているので,ハエやハチ,ありなんかが受粉を運んでくれていますが,ハウス栽培をされている方は,しっかりとハチを入れたり,ハエを入れたりしてくださいね.

けんゆー

薄めた蜂蜜水のスプレー散布も効果的なようだよ!!

動画解説をしてます.

ここら辺の開花型についてより詳しく知りたい方は,上の動画をご覧ください.
学術論文をもとに解説しております.

隔年結果性の影響

アボカドなどの熱帯果樹は,隔年結果性が強い作物です.
隔年結果とは,年次によって成年とそうでない年を繰り返すという性質です.

ここでは,隔年結果性どのような要因によって引き起こされるのか,花の開花習性という観点から詳しく取り上げていきたいと思います.

無限花序と有限花序

アボカドの花は総状花序なのですが,花咲から新たな新梢が出てくる無限花序と花だけがさく有限花序に大別されます.

隔年結果を議論する際には,この無限花序有限花序の比率がかなり大事です.
無限花序の先端には,翌年,また結果を促す枝が伸びるので,有限花序だけしかないと,翌年は不作の年になります.

無限花序と有限花序の発生は品種によって異なります.
米本先生の「アボカド」という本によると,ハスは隔年結果性がかなり低い品種ですが,ベーコンやフェルテなどでは,隔年性が高いです.また,ズタノのように無限花序の比率が高い品種もあるようです.
(参考文献「アボカドの結実習性と収量構成要素について」)

このような無限花序と有限花序の比率を把握し,結果の際に芽かきや整枝,剪定をする必要があります.

つまり,果実が肥大化する際には,枝の伸長と果実の肥大化で養分の奪い合いが起こると思いますが,この時に,新梢の芽かきをして,果実の肥大化を優先する場合があると思います.
無限花序が少ない年では,気をつけてくださいね!というお話でした.

ということで今回はここまで!
アボカドの花の特性や習性,栽培に関する参考になれば幸いです.
アボカド栽培のコミュニティーのアボカドパーティーに参加したい方は,以下をご覧ください.


それでは,素敵なアボカド栽培ライフをお過ごしください!