【#116】有機肥料と化学肥料の違いは!?植物は何を吸うのか?肥料の入れすぎで枯れる理由?
この記事のポイント
  • 有機肥料と化学肥料の特徴の違いを考える!
  • 植物体へ肥料が吸収される時の要素形態とは!?
  • 浸透圧によって水と養分が移動する.

けんゆー

ハイサーイ!


こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.

本日は「有機肥料と化学肥料の違い,養分の吸収のされ方」ということをお話ししたいと思います.
野菜を育てたい!とか,果樹を栽培したい!といった場合,肥料分を与えないと作物は成長しません.
その肥料分のうち,3大栄養素と呼ばれる「窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)」,そして,その他に微妙要素と呼ばれるその他の栄養成分,カルシウムやマグネシウム,ホウ素などなど,色々とあります.17の成分が必要であると言われてます.

けんゆー

窒素・リン酸・カリウムは,人間でいうところの「炭水化物・タンパク質・脂質」とか,その辺りだね!他にもビタミンとか,ミネラルとか...笑


植物は「成長」と「発育」をします.二つ合わせて「生育」です.
植物学的に,「成長」というのは,質量の増大です.例えば,植物体の茎の長さだったり,大きさだったり,面積だったり,体積だったり,そういったことを指します.
一方で「発育」というのは,難しいですが,識別可能な一連の事象です.例えば,発芽したり,開花したり,もっと受精から始まり,胚が分化して,新たな植物個体の生成など,こういった,開花したね,という一連の事象になっているのですね.

つまり何が言いたいかというと,「生育」というものにおいては,養分が必要であるので,肥料を与えないといけません.ということですね.
脱線してすみません.
ということで,今回は,有機肥料と化学肥料について考えていきたいと思います.

植物は何を吸うのか!?

まず初めに,有機肥料化学肥料の違いを解説します.

有機肥料とは!?

有機肥料は文字の通り,動物や植物などの有機物から生成した肥料です.
なんでも良いですが,例えば油粕,魚粉,米ぬか,草木灰,鶏糞,牛糞,などなど,こういった有機物から得られるものですね.

特徴としては,

  • 肥料の即効性は低いが,持続性が高い.
  • 微生物の活動により土壌改良がなされる.
  • 分解の過程で,ガスなどが発生し,生育不良が起きる場合もある.
  • 適量が難しい.品質がバラバラ.
  • ぼかし肥料や堆肥を作るのに,時間がかかる.

化学肥料とは!?

化学肥料(化成肥料)とは,科学的に合成された肥料になります.

特徴としては,

  • 植物に直接吸収されるため,即効性は高い,しかし,持続性は低い.
  • 分解がないので,不要なガスが発生しない.
  • 微生物の活動を期待するものではない.
  • 過剰投入されやすい.
  • 安定した品質.

次に,植物は養分をどういった形態で吸収するのか,というところをお話しします.
実は,植物は無機元素(無機イオン)を根っこから吸収します.

けんゆー

有機物は一般的に炭素を含むもの,とか言われるね!燃やしたら炭になったりするので!


無機元素とは,定義が難しいのだけれども,有機ではないもの.
原子といっても良いかな,あらゆる物質の化学要素ですね.生命は宿ってないです.

植物というのは,こういった無機元素を根っこから吸うのですね.
なので,有機肥料を入れても,窒素・リン酸・カリウムを直接有機肥料から吸収できるかと言われると,そうでもないのですよね.
ここら辺が面白いわけです.

植物が吸収するためには!?

話を戻しますけれども,植物というのは,無機元素を吸うので,有機肥料を投入した場合は,微生物の働きで,もっと小さいものに分解されていく必要があります.
例えば,有機物中の窒素は,タンパク質とかアミノ酸を経て,アンモニウムイオンや硝酸イオンになります.

けんゆー

アンモニウム態窒素とか,硝酸態窒素とかいうやつだね!


そうして初めて,植物に吸収できる形になるのです.
リン酸も,リン脂質やフィチンが分解されてでてきて,リン酸イオンになって初めて吸収されますし,カリウムも時間をかけてカリウムイオンになり吸収されます.

そのため,植物への吸収は遅いのですが,微生物が活動するということから,土壌改良の効果が期待できます.

一方で,化学肥料は植物が吸収するための養分そのものを合成して使っているため,作物にすぐに取り込まれます.
ただ,投入量が多くなりガチで,そうなると,植物が余分に養分を吸ってしまい,ちょっと水っぽくなったり,環境への影響が懸念される点もあります.

どのようにして養分が吸われるか!?

植物の体の中に,どのようにして養分が入っていくか,という話をします.植物の根は,浸透圧を利用して水と水に溶けた養分を一緒に吸収してます.
吸収してるというよりも,取り込まれるように調整される,という方が良いかもしれないですね.つまり,イオン濃度勾配によって,養水分が移動するのですね.

面白いですよね.
人間は,ご飯を食べたい時に食べれて,食べたくない時には,食べないという選択ができますが,植物の場合は,周囲の食べ物の濃度が濃すぎると,植物自体の意思とは反して,大量に体に入ってきてしまう,ということが起きるのですね.
たまに,土壌に肥料を入れすぎると,枯れるということが起きると思います.
つまり,土壌中の窒素やリン酸などの濃度が濃く,浸透圧の影響で,水の流れが逆転し,植物体内から土壌の方へ流れます.
そのため,干からびる,ということが起きます.
浸透圧というのは,濃度が濃い方から低い方へ水分が移動するのではなく,濃度が濃いものを薄めるように水分が移動するのですね.
ナメクジに塩をつけると,体の水分が抜ける,みたいなことです.
植物の塩害もその理論と同じですね.
有機肥料も化学肥料も入れすぎは良くないわけですね.

最後は,ちょっと科学な世界に突入しましたが,植物がどのように養分を吸収するのか,また,有機肥料と化学肥料の違いについて確認できたら,よかったのかなと思います.どちらを活用するのかは,ご自身の選択によりますが,きちんと容量・用法を守る,ということが必要なのですね.

今回の記事,読んでくれた方には,【#40】日本の土壌はなぜ酸性に傾くのか!?が非常にオススメです.
窒素分が植物体に吸収される際に,どのように形態を変えていくのか,そして,植物に取り込まれる際のイオン交換とはなんなのか,についてお話ししております.
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