- 植物や果樹は肥料で成長するわけではない!
- もともと植物が持っているホルモンの作用を高めると成長する.
- 虫のつかない強い作物になる!
ハイサーイ!
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今回は「植物は肥料ではなくホルモンで成長する!また病害虫との関係もホルモンであるという理屈」をご紹介させていただけたらなと思います.
このラジオでも何回か植物ホルモンのお話はさせていただいているのですが(#62,#63など),今回も深く取り上げていきたいと思います.
この記事のポイント オーキシンはギリシャ語で「育つ」という意味! 植物の生育に必要な最も重要なホルモン. 良い …
この記事のポイント ジベレリンは,花芽形成,種子発芽など多くの作用がある. 種無し果実を作ったりするときにも必 …
今回は現代農業の2016年7月号別冊に面白い話が載っていたので,ご紹介させていただきます.
本原稿を書かれたのは広島県の川田さんという方なのですが,立派な無肥料・無農薬のレモンを作られておりましたね.
その方が強く主張しているのは,やはり植物ホルモンの動きの理解なのですよね.
植物ホルモンが理解できると,生育に有利!?
本書で紹介されているのは,植物ホルモンを生かすことにより,2つの大きな利点があると言います.
- 肥料のいらない栽培.
- 虫が来なくなる強い木.
それぞれ深掘りしていきたいと思います.
肥料のいらない栽培
果実は成熟すると落下する
多くの果実は成熟すると落果します.
果実の中の種には,エチレンとアブシジン酸が含まれております.
これらホルモンの濃度が高いと,発芽が起こらないと言います.
大体の果実の種は,冬を越し,夜が段々と短くなる春にアブシジン酸の濃度が薄まり,発芽の準備を始めます.
そこに,水分と温度が加わることによって根っこが出てくるのです.
植物の成長とホルモン
根っこが出ると,この根っこからジベレリンとサイトカイニンが作られます.
ジベレリンは成長を促すホルモンで,サイトカイニンは花をつけるために必要なホルモンです.
これらホルモンが重力とは反対方向に向かいます.
そうすることで,新しい芽が伸びたり,枝が伸長します.
そしたら今度はそこでオーキシンが作られます.
オーキシンは前回もお話させていただいたのですが,重力の方向に移動して,最終的に根っこに到着し,今度は根っこの発育を促します.
しかし,オーキシンの濃度が濃すぎると根の成長は止まり,その結果,ジベレリンなどに作用し,適切な量の調整を自身で行っているのです.
つまり,図の説明になるのですが,根っこでジベレリン・サイトカイニンが作られ,これが枝や芽の成長,そしてそこからオーキシンが作られ,根っこを生やす,そしてまた根っこで,,,というサイクルが木が育つ要素なんですよね.
つまり,ここに肥料の存在は,必ずしも必要ではないのですよね.
本来,植物というんほあ,もともと自らが作り出すホルモンの作用によって育つのですよね.
山の木などを見ると,よく立派に育っているということを聞くと思いますが,植物ホルモンの作用を阻害しない栽培ということが求められると言います.
誘引とか,捻枝,剪定,施肥などが,必ずしも生育にプラスに働いているのか,というのは疑う必要があります.
この辺は本当に難しいです.立ち枝を生かすんだ!という方もいますし,立ち枝は切るんだ!という方もいますし,難しいところです
しかしながら,植物の成長の理屈や植物ホルモンの作用を知ることは大事ですね.
果実の成熟や糖度
果実の成熟を促進するには,オーキシンとエチレンの働きが重要になります.
オーキシンが多いと,糖度が高い果実になり,エチレンが多いと成熟が早くなります.
果実をつける前の花をつけようと思うと,サイトカイニンの量も必要となります.
奥が深いですね.
病害虫と植物ホルモン
植物ホルモンには,病気や虫を寄せ付けない働きも存在すると言います.
きちんと,ホルモンの作用が効いていると,強く健康な木になるのですね.
エチレンという植物ホルモンがきちんと働いていると,病気にかかりにくいと言います.
代謝の過程で,エチレンは,殺菌力の強い酸化エチレンに変わって,病害虫と戦っているのですね.
窒素を入れると,虫が作っていうのを聞いたことがある人も多いと思います.
硝酸態窒素が虫を呼ぶとか,聞いたことがあるかと思いますが,
実は,チッソ肥料によって,植物が出すエチレンの量が少なると言われております.
エチレンを作るためには,アミノ酸がいろんな形態に変わっていき,カルボン酸というものになり,その後,エチレンになります.
本書では,変化する成分,丁寧に説明されているのですが,専門用語(固有名詞)は省略させてもらっています.
チッソ肥料のアンモニアが,カルボン酸からエチレンに変化することを阻害するのですね.
それによって,病気や虫がつくと言います.
作物の栽培も,旬や適切な環境を守ると,植物も健康に育って,虫がつきにくくなるのは,植物体内のホルモンバランスのシステムが上手く機能して強い植物に育っているのですよね.常々お話しさせていただいていますが,「虫に食べられている野菜は虫が食べるほど美味しい」というのは科学的には嘘で,本来であれば,虫に食べられていない作物ほど,健康で丈夫である.おそらく栄養素も高く,虫に食べられたところから腐敗が進むので,綺麗な野菜ほど味も美味しいでしょうね.
ちょっと難しい話になっておりますが,とにかく肥料の理解,植物の成長の理解,こういったことが大事なのですね.
この記事のポイント 虫がつくのは肥料のやり過ぎ,窒素過多なのかもしれない! 元気がない野菜,弱っている野菜ほど …